昨年より息子が少年野球チームに加入し、その関係で本年より(未経験ながら)私もコーチを拝命することになりました。その経緯から、WordPressを用いてチームのWebサイトのリニューアルを行いましたので手法を紹介したいと思います。
少年野球チームの現状
私が子供の頃は、小学校高学年くらいから結構な割合で野球かサッカーのチームに所属する感じであったかと思いますが、現在では少子化と野球離れにより少年野球人口は減っていると感じます。
実際に私の居住する地域でも、10年前は12~13チーム程度は存在していたようですが、現在ではチームの統廃合が進み概ね半減、息子の所属するチームでもメンバー減によりチーム編成もままならない状態になってしまいました。
スタッフの立場からしても、地域へのプロモーションを強化して勧誘活動に力を入れるべきでWebやSNSでのプロモーションも大事と感じました。そんな矢先、丁度前任の方よりWebサイト更新担当の引き継ぎの話があったため引き受けることとしました。
サイト立ち上げの選択肢
前任の方より引き継いだ旧サイトは、良くも悪くも有名な無料HPサービスにより運営されていましたが、以下の問題がありました。
- デザインがあまり美しくない
- スマートフォンへの対応(レスポンシブデザイン)ができていない
- SNS等での拡散に対応が難しい
- 更新頻度が低い
無料HPサービスを利用する
従来と同等、ということになりますね。
調査は不完全ですが、レスポンシブデザインやSNS連携機能には限界があるかと思います。
野球チーム専用のASPサービスを利用する
野球チーム専用のASPサービスが存在します。
機能制限はあるものの概ね無料で利用でき、有名なところでは以下があります。
最低限の月謝で運営されている少年野球チームにおいて無償なのは大変有り難いのですが、デザインは少々古くさいところがあると感じます。
CMSを用いて独自ドメインでサイトを立ち上げる
自由度の高いCMSであるWordPressを利用して、独自ドメインでサイトを立ち上げる方法。
有償にはなりますが、テーマやプラグインを駆使することによって自由にカスタマイズできるのが魅力ですし、SNSでの拡散にも対応できます。
WordPressに関しては本サイトの運営やSORACOM UserGroupの公式サイト立ち上げに微力ながら貢献させていただきましたので、私にも若干のノウハウが溜まっている状況ですし
- 運営に関わる課題は後述するサービスやプラグインによる解消が可能
- 交渉の結果、予算が確保できたこと
以上のことから、WordPressでのサイト立ち上げにチャレンジすることにしました。
WordPress更新/運用負荷を下げる工夫
とはいえ、(少年)野球チームのサイトをWordPressで立ち上げるとなると各種の課題が想定されましたので以下の方法で解消しています。
Shifterサービス:サーバ運用負荷を排除
ご存じの通りWordPressは、いわゆるLAMP構成(Linux/Apache/MySQL/PHP)で動作させることが通例のPHPアプリケーションです。基本的には自前でサーバを用意してミドルウェア・アプリケーションのインストール作業を行う必要があります。
KUSANAGIのようなサーバテンプレートを用いることでインストール作業の手間は大幅に削減することが可能ですが、それでも運営開始後のサーバ管理(パッチ適用等のセキュリティ運用)は排除できません。
基本的にユーザはコンテンツ制作に注力すべきで、サーバ管理なんて基本的には行いたくは無いはずです。
そんな方にお勧めなのがShifterのサービスというわけです。
簡単に説明すると、ユーザはWordPressの編集サーバ(コンテナ)を編集時のみに起動します。
編集終了後にユーザが生成(Generate)ボタンを押すと、制作したコンテンツは全てCDN上に配備された後、編集サーバ(コンテナ)は消滅します。つまり
- 早い:CDNから配信されるから超高速配信
- 安い:リソース消費が少ないため安価にできる
- 安心:(静的なので)基本的にセキュリティの心配不要
という理想的なサービスというわけです。
ShifterはITコミュニティにおいて無償で利用できるプログラムがあり、実は私が運営スタッフを拝命しているSORACOM UGのサイトもShifterを利用しています。
昨年のUG Explorer 2019サイト立ち上げよりShifterを経験しており、今回もノウハウを活用した次第です。
SportsPressプラグイン:コンテンツ作成負荷を軽減
続いてコンテンツ制作について。
例えば試合結果のスコアを公開するなど、野球に関連する更新を全て手作業で制作を行うことはかなり面倒であることが想定されましたし、私がチームを離れた後の引き継ぎを考慮して、できるだけ簡便に更新出来るようにする必要があります。
そこで見つけたのが以下の記事と事例
何と野球チーム制作専用のWordPressプラグインがあるのですね。
- SportsPressのプラグイン
- 同プラグインの野球エクステンション
今回においてもこれらを利用することで大幅に制作負荷が軽減できました。
SportsPress-野球による更新方法
上記プラグイン2つはインストール済として、以下の手順になります。
インストールすると、左メニューにSportsPress関連のものが追加になります。
初期設定
左メニューからSportsPress-設定。
特に難しいものでも無く、所属リーグ等の設定を行います。
リーグが未登録のようであれば、左メニューのSportsPress-Leaguesで設定できます。
チームの追加
左メニュー(チーム)からチームの追加を行います。
後で利用するため、対戦相手を含め全てのチームを作成します。
とはいえ、必要項目はタイトルのみです。
必要に応じて所属リーグの設定を行うことができます。
スタッフの追加
スタッフの自己紹介を掲載する場合は、左メニュー(スタッフ)よりスタッフの作成を行います。
自己紹介文や写真の掲載ができます。
必要に応じて所属チームの設定を行えば良いでしょう。
作成後、ショートコードが発番されます。
このショートコードを固定ページや記事に掲載することでスタッフ情報を各ページに埋め込むことが可能です。
試合結果の掲載
いよいよ試合結果の作成です。
まず、右側の「チーム」欄から表裏のチームを選択し、一旦公開します。
するとメインウィンドウにスコアカードが表示されますので、ここにイニングスコア、総得点等を記入できるようになります。
こちらもショートコードが発番されます。
このショートコードを固定ページや記事に掲載することで試合結果を各ページに埋め込むことが可能です。
費用
最後にかかった費用について説明します。(税込)
- Shifter ・・・ $144/年
Shifterにおいては最低限のグレードであるTier1を選択しています。(参考:価格表)
月払い/年払いが選択できますが、総額を抑えるため年払いとし、課金額は$144/年です。
無料枠もありクレジットカード情報を登録すれば無期限で利用できますが、独自ドメインが利用できないため、あくまで公開前(制作中)に利用するもの、という位置づけかと思います。 - Google Domains ・・・ \1,650/年
ドメインの種類に拠りますが、今回は1,650円で利用できる廉価なドメインを選択しました。
Google Domainsの選択理由はDNSサービスが付帯すること、ユーザ間の移管が容易なことですね。
合計して(為替にも拠りますが)\17,500/年程度で維持運営できることになります。
この程度だったら、とお感じの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
公開/これから
上記の手順で作成したWebサイトは、無事7月に公開できました。
他のチームのサイトよりも凝ったデザイン、スマホ対応、SNSでのシェア対応などが実現できているので、良い評価を頂けているようです。
なおSportsPressは色々多機能なものとなり、無料の範囲でも更に以下のものがあります。
- 順位表機能
- 日程表機能
- 選手名鑑機能
- 審判登録機能
また選手の情報も登録すれば試合結果にて安打数等の詳細データの登録ができ、統計を取ることが可能なようですが、当面の少年野球のチーム作成には必要無いものでしたので利用しておりません。
なかなか面白いのですが、ここら辺に凝ってしまうと難しくなってしまい後任への引き継ぎが難しくなりそうですので自重したいと思います。
今後は順次マニュアルを作成して後任への引き継ぎ準備かな、と思っています。
以上
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