GPD Pocket2ファーストインプレッション

去る2018年7月14日に、GPDユーザカンファレンス2018が開催され、GPD Pocket2の試作機が公開されました。私も参加し触ってきましたのでレポートします。

本記事の内容は試作機ベースのレポートとなっており、正式発売の際には変更となる可能性があることをご留意ください。

GPD Pocketからの変更点

本イベントでは、GPD社General ManagerのWade氏及び国内代理店の天空様より、以下の変更を行ったと説明がありました。Wade氏によると、従来のGPD Pocketは主にCPUとキーボードの2つで課題があると考えていたとのこと。

薄型化、軽量化

本体部の薄さは8~14mmで、GPD Pocketの18mmから薄型化が図られています。
また重量も20g軽くなり460gとなっています。

従来から定評のあったアルミ削り出しボディの質感、高精細液晶画面は変わらず。
なお、ヒンジは180度まで開くよう改善されています。

CPUの強化

Intel Core m3-7y30プロセッサを採用。約2.5倍の高速化が図られています。
内蔵GPUであるHD Graphics615により、GPU性能も2.2倍となっています。

eMMC 5.0ストレージ採用

(SSDではなく) eMMC 5.0のストレージが採用されており、高速化が図られています。
(※発熱や消費電力の観点から高額だが選択したとのこと)
Windows10 OSの起動時間は12秒以内とのこと。

拡張性

USB3.0(Type A)スロットは両サイドに取り付けられ2スロットになっています。
GPD Pocketでは非搭載だったmicroSDカードスロットを搭載(高速化が図られています)

※(追い出されるかたちで) microHDMI端子は廃止。

Type-C HUBが付属し?高い拡張性が発揮できます。
なお従来はType-C HUB経由での充電が殆どできなかったが、互換性を高めて充電できるようになっているとのこと。

ユーザインターフェース

キーボードを刷新。キーピッチ(縦)が11mm⇒12mmに拡大。「半角/全角」キーを搭載。
ファンクションボタン類はナビゲーションバーに搭載されます。

ポインティングデバイス(オプティカルフィンガーナビゲーション)を搭載。従来有ったポインティングスティックが廃止されています。

※一旦ポインティングデバイス無しで開発を進めたが、ユーザからの不満が多く寄せられたため急遽採用したとのこと。

冷却機構

本来あるCPUの処理能力を十分に発揮できるよう、妥協ない冷却機構を採用しているとのこと。なお、静音のためファン動作を切るスイッチがナビゲーションバーに搭載されます。

予定スペック

タイミング良く?先日発表された、Microsoft Surface Goとの比較がありました。
そのまま掲載させていただきます。

感想

コンセプトについて

GPD Pocket2の情報が初出した際、私は
「GPD社は安易に迎合せず、コンセプト実現に突き進む開発方針なんだな」
と感じました。

というのも、GPDのWade氏はGPD Pocket開発の際、以下の妥協をしてしまったとPC WATCHの記事にて語っており

  • 筐体の厚みが増してしまった。
  • バッテリー容量を削らざるを得なかった

GPD Pocket2ではこの記事の通り、薄型化にチャレンジしてきたからです。

この方針は好感が持てるものの、GPD Pocket2ではCPUの強化と薄型化を両立するにあたり、幾つかトレードオフの箇所が発生してきました。

薄型化について

従来のGPD Pocketとの比較デモの際の写真、及び試作機を背面から撮影した写真を掲載します。

CGイメージでは極端な薄型化が図られているように感じられますが、実際には最も薄い部分は側面の一部であり、全体としては18mm⇒14mmと4mmの削減となります。
(背面が丸みを帯びており、、薄さを感じさせるデザインになっています)

キーボードの改良と薄型化を優先するにあたり、ポインティングスティックが廃止となったとのこと。ここが意見が分かれるところでは無いでしょうか。

オプティカルフィンガーナビゲーションについて

ポインティングスティックの代替として”急遽”搭載されたオプティカルフィンガーナビゲーションですが、(個人的には) 常用するには厳しいかなと感じました。
当初は(USBやBluetoothの)外付マウスと併用すれば良いと考えたのでしょう。

ナビゲーションバーの最も右側に光学式のタッチセンサーがあり、ポインティングデバイスとしてマウスカーソルを動かすことができます。(タップすることもできますがクリック感はありません)
別にナビゲーションバーの左側に左クリック・右クリック相当のボタンがあります。

タッチセンサーは光学式で引っかかりが無いため、狙った場所に移動することが難しいと私は感じました。OSの設定である程度緩和はできそうですが、スティックの代替には難しそうです。
立って使う際にはオプティカルフィンガーナビゲーションを利用、デスク上では外付けマウスを併用するのが現実的と思われます。

排熱方式とファン動作音について

従来のGPD Pocketでは右側面から排気されていましたが、GPD Pocket2では背面への排気に変更となりました。(吸気箇所は従来と同じくヒンジ部分)

従来は立って利用する際に手が排気スロットを塞ぐ可能性があったり、一部のType-C HUBが排気スロット塞いでしまったりとのケースがありましたが解消されます。但し設置場所やケースの選択に注意が必要かもしれません。

今回、試作機を触った感じでは特に熱い箇所は無く、うまく廃熱できているのではないかと思いました。(が、殆ど触る時間が無かったので参考まで)
改めて製品版を触る機会があれば確かめてみたいところです。

発売スケジュール

中国国内では2018年7月16日より出資受付開始、INDIEGOGOでの出資受付も7月中に開始されるとのアナウンスがありました。

INDIEGOGOでの出資価格は、メモリ4GBモデルが $569、8GBモデルが$639となります。
出荷、市販開始は秋頃になるのではないでしょうか。

おわりに

従来、ゲームユース向けのPCを開発していたGPD社において、非ゲームのオフィスユースに対応したラインアップがGPD Pocketシリーズになります。

オフィスユースのため、安定して動作することを念頭に開発を行っているとのことでした。
実際、薄型化、CPUの強化、ストレージのスピードアップ、Type-Cの互換性向上など、より完成度を高めてきたように見受けられます。

従来のGPD Pocketは若干癖があり、玄人向けの製品であったのは否めないのですが、より一般の方々にも(ユースケースが合えば)推奨できるのでは無いかと思いました。
イベントでもコメントがありましたが、女性ユーザが増えるといいですね。

コメント

  1. kizawa2020 より:

    IndieGoGoでの出資受付が開始されました。
    https://www.indiegogo.com/projects/gpd-pocket2-7-0-umpc-laptop-win-10-os-pc#/